2010年5月10日のニュース
FOTAは9日午前中にバルセロナで開催した会議において2011年シーズン以降にFダクトを禁止することで合意した。これにより、マクラーレンが開発したFダクトは僅か1シーズンのみで消えさることになった。ザウバー、フェラーリ、ウィリアムズ、メルセデスGPもFダクトをコピーし、すでに導入しているが、その恩恵を得られるのは今シーズンの残るレースのみとなる。また、ロータスら小規模チームはFダクトを開発する予定はないようだ。
Fダクトはストレートスピードを改善する効果を持つアイデアだが、ドライバーが膝や手を使ってコントロールする為、危険性を孕んでいるとの指摘もある。特にフェラーリのシステムでは左手をステアリングからかなり離してしまい、同時に右手でブレーキバランスをコントロールする為、両手離し運転に近い状態になると批判されていた。実際には左手の親指がステアリングに残っているが、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナー氏はギリギリに見えると指摘している。
「これは本当に巧妙なアイデアだ。考え出した人物には脱帽するよ。しかし、今週末に明らかになった一部のシステムではドライバーが指先だけでドライブしている状況になっている。かなりギリギリに見えるんだ。安全性とコスト問題を考慮すべきだと思っている」
また、メルセデスGPのCEO、ニック・フライ氏も反対派だ。彼は「AUTOSPORT」に対して次のように述べている。
「私はF1以外の分野に応用できない技術はつぼみのうちに摘み取ってしまうのが良いと思っている。他の分野でも利用できるものを奨励すべきだと思っているし、個人的にはKERSはその点素晴らしい技術だと思っている」
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nien)
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上位陣と下位グループのペース差が大きいことからモナコGPの予選は大渋滞になる可能性が懸念されている。そのため、一部のチームは予選Q1を分割し、2度に分けて行うことを提案した。しかし、この案はF1チームの全員一致を得られず却下されることに決まった。結果、モナコGPの予選は通常通り行われる。
ロータスのチーム代表トニー・フェルナンデス氏はこの件について「Reuter」に対して次のように述べている。
「我々はFOTAの会議で12台ごとに予選を分割する案について話し合った。私は拒否した。我々はエキサイティングなレースを望んでいるし、予選も同様に予測できない展開の方が面白い。私は7ヶ月間F1にいるが、全てのドライバーが優れているし、彼らは上手くドライブするために雇われているんだ」
もともと下位チームからは反発があった案であり、通る可能性は低いと見られていた。
しかし、モナコGPの予選がいかに渋滞を避けるかが鍵になっているのも確かだ。面白い結果になる可能性は十分にある。
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nien)
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ジェンソン・バトンにとってスペインGPの決勝レースはフラストレーションの溜まるものだったはずだ。レース中盤以降、彼はメルセデスGPのミハエル・シューマッハに押さえ込まれ、最後まで抜きあぐねてしまった。マシンの力はマクラーレンが勝っている為、オーバーテイクできていればもっと良いペースで走ることもできたはずだ。しかし、結局シューマッハのディフェンスの前に敗れ去っている。
それでも彼はシューマッハのドライビングが危険なものだったと批判している。
「(ターン1で)彼がターンインしてきたんだけど、僕が減速しなければクラッシュしていたはずだ。これは彼ほどの経験があるドライバーならばわかっていることだと思う」
バトンはシューマッハのドライビングに激怒しているが、シューマッハは全く気にしたそぶりを見せていない。
シューマッハは「彼にとっては苛立つものだったかもしれないが、僕はエキサイティングだったよ」と述べている。
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最近はブリヂストンの後継サプライヤー候補としてピレリ、ミシュラン、エイヴォンの3社が噂になっているが、依然として決まる気配が見えていない。しかも、F1チーム首脳陣は今でもブリヂストンの慰留を求めているという。FOTA会長マーティン・ウィットマーシュ氏は、ブリヂストンの慰留に成功できたら嬉しいと語っている。
ウィットマーシュ氏は8日、ブリヂストンの担当者と会談したという。
その後、9日午前にFOTAは会議を開き、タイヤサプライヤーの件について話し合いを行った。
ウィットマーシュ氏は、新しいメーカーがF1に加わるのはリスクがあると指摘しており、ブリヂストンを残留させることができれば一番良いことだと認めている。彼は「Motorsport-Magazin.com」に対して次のように述べている。
「ブリヂストンは素晴らしい仕事をしている。彼らを慰留できたら嬉しいよ」
タイヤサプライヤーの問題は当初はスペインGPの週末に決まると予想されていたが、今ではモナコGPの週末になるだろうと見られている。しかし、もちろん決まるかどうかはまだわからない。
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セバスチャン・ベッテルはスペインGPでマシントラブルに苦しみつつも何とか3位表彰台を獲得する活躍を見せたが、レース終盤、チームからリタイアするように指示を受けていたことを明かしている。それでも彼は自分の判断で走り続け、貴重なポイントを獲得することに成功した。しかし、ブレーキがいつ完全に壊れ、マシンが止まっても不思議ではなかったようだ。レッドブルは依然として信頼性に不安を抱えている。
ベッテルはレース終盤15周でブレーキ・トラブルに遭い、ピットストップを行いダメージの確認をした。
エンジニアはすぐにブレーキのダメージに気づいたようだが、彼はトラックに戻った。ところが、その後チームからリタイアした方がいいという指示を受けたという。
彼はドイツの「Auto Motor und Sport」に対して次のように述べている。
「僕が出て行くとチームからリタイアした方がいいと言われたんだ。彼らはブレーキのダメージが酷いから危険だと言った。でも僕は、本当にリタイアしなければならないのか、それともゆっくり走ればポイントを獲得できるのか訊いてみた。答えはなかった。それで僕は走り続けることにしたんだ。最終コーナーで彼らから『走り続けろ。でも慎重にだ』という返事をもらったけど、そのときには僕はピットレーンの入り口を過ぎていたから遅すぎたね」
ブレーキトラブルが危険なのは確かであり、チームが懸念してリタイアを薦めたのも理解できる話だろう。
一歩間違えば、大クラッシュに繋がりかねないため、今回ベッテルが問題なくフィニッシュできたのは幸運といっていいかもしれない。いずれにしてもレッドブルは現時点ではマシンの信頼性、チームの咄嗟の判断力などの面ではまだ完全にトップチームとは言えないのかもしれない。
それでも彼らがタイトル争いで最も良い武器を持っていることは確かで、ウェバーはスペインGPの週末を完勝したといってもいいほどだ。
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シーズン5戦目にしてようやく初の完走を果たしたザウバーの小林可夢偉。予選でも素晴らしいペースを見せてQ2で8番手のタイムを記録。Q3では新品タイヤがなく10番手に終わったが、この週末にザウバーが前進したのは確かだ。ペドロ・デ・ラ・ロサもQ3進出はならなかったが、週末の調子は悪くなかった。決勝レースは可夢偉同様、他車からの接触を受けてしまったが、マシンが良くなりつつあるのは好材料だろう。
そして可夢偉はいい流れに乗りつつ、今週末のモナコGPを迎える。
彼はモナコを本当に楽しみにしているようだ。次のようにコメントしている。
「F1マシンでモナコをドライブするのは最高だろうね。とてもワクワクしているし楽しみなんだ。僕はGP2ではモナコの経験が少しある。いいレースじゃなかったんだけどね。2回のレースともアクシデントに遭ってすぐに終わってしまったんだ。僕のミスではなかったけど、モナコではよくあることだね。とにかく僕らはポジティブな流れに乗っているとわかっているから、特に楽しみにしている。ただ、モナコでこの流れを維持するのは難しいとも思う。僕らのマシンはスローコーナー向きじゃないからだ。でも、懸命に頑張ってベストを尽くすつもりだよ」
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スペインGPの決勝レースはレッドブルのマーク・ウェバーがポール・トゥ・ウィンで今季初優勝を飾って幕を閉じた。2位にはセバスチャン・ベッテルのマシントラブル、ルイス・ハミルトンのアクシデントのお陰もあってフェラーリのフェルナンド・アロンソが入った。母国の大勢のファンの目の前で表彰台に立つことに成功した。また、3位にはトラブルに苦しんだベッテルが入った。
タイヤ戦略に関してはウェバーはソフト、ハードの順を選択した。アロンソも同じ。ベッテルの場合は2度のピットストップを行い、ソフト、ハード、ソフトとソフトを2回のスティントで使用している。
ブリヂストンの安川氏、浜島氏のコメントは次の通り。
■安川ひろし (株)ブリヂストン モータースポーツ推進室長:
「今季初優勝のマーク・ウェバー選手にお祝いを申し上げます。ここスペインの素晴らしい観客に見守られる中、彼の勝利でヨーロッパラウンドは幕を開ける事になりました。フェラーリから出走する初のスペインGPで表彰台に立つことができたフェルナンド・アロンソ選手にとっても、今日は最高の日になりました。ブリヂストンにとっても、非常に素晴らしい週末でした。ヨーロッパ諸国からの多数のゲストに加え、アメリカやブラジルからもゲストを迎えたことは、F1がビジネスツールとして大きな役割を担っていることの証明と言えるでしょう。我々の販売会社はF1活動の支援を続け、我々のビジネスにおけるF1の重要性を証明しています。この素晴らしいスポーツを支援してくださる全てのチームに誇りを感じています。ここからモナコに直接向かいますが、次も素晴らしいレースになると思うので楽しみです」
■浜島裕英 (株)ブリヂストン MS・MCタイヤ開発本部フェロー:
「今日はピットストップのタイミングが重要な興味深いレースでした。これは、ルイス・ハミルトン選手、ミハエル・シューマッハの両選手が、ピットストップを通してポジションを上げたことでも分かります。マーク・ウェバー選手は最高のパフォーマンスを見せました。ここでは、レッドブルが2種類のコンパウンドに適したとても良いセットアップをしていました。今日はハードもソフト・コンパウンドも高い性能を発揮しましたし、金曜日の夜とは異なり、昨夜は雨が降らなかったため、路面コンディションもどんどん向上していきました。ハード・コンパウンドは一度温まると非常に安定したパフォーマンスを見せ、レース終盤の燃料が軽い時に記録されたレースの最速ラップタイムでもこのタイヤが使われていました。ソフト・コンパウンドはすぐに良いラップタイムを記録し、一般的に見られるよりも長い第1スティントを今日は走ることが可能でした。ルイス・ハミルトン選手に起こったアクシデントを解明するためにマクラーレンと協力して調査中ですが、現状ではタイヤの問題が原因ではないと思います」
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ザウバーにとってスペインGPは残念な結果に終わってしまった。特に予選で小林可夢偉がQ3に進出し、10番グリッドを手に入れたのだからなおさらだろう。決勝でのペースも決して悪くなく、オープニングラップでのロバート・クビサとの接触がなければ入賞は確実だったはずだ。また、ペドロ・デ・ラ・ロサも同じく接触のアクシデントがなければもっと良いレースを展開できたはずだ。
しかし、収穫もあった。ザウバーのマシン、C29は序盤4戦と比べると明らかな前進を果たしていた。
今後は中団グループでしっかりと戦える見通しが立ってきた。次のモナコGPにも期待したい。
以下、可夢偉、デ・ラ・ロサ、ザウバー氏、キー氏のコメント。
■小林可夢偉
決勝レース結果:12位
「スタートはよかったのですが、3コーナーでロバート(クビカ)に当てられてしまった。僕としては彼にも充分なスペースを与えていたのですが、彼はアンダーステアが出たと言っていました。ともかくそこでポジションを15番手まで落としてしまった。もしこのアクシデントがなければ、クルマのパフォーマンスも上がってたし間違いなく入賞できていたと思います。その後はもう1台のルノー、ビタリー(ペトロス)に引っかかってしまいました。カタルニアサーキットは本当にオーバーテイクをするのが難しいサーキットで、何度もトライしました抜き去ることは出来ませんでした。ただ、今年初めてレースを完走できたのはよかったと思っています」
■ペドロ・デ・ラ・ロサ
決勝レース結果:リタイア
「とても残念だよ。どれだけ失望しているか説明できないほどだ。スタートは良かったが、トロ・ロッソにぶつけられリアタイヤがパンクしてしまった。タイヤ交換のためにピットインしたが、パンクによるマシンのダメージが大きすぎた。レースを続行しようとしたが、最終的にドライブ不可能だった。納得できないが、諦める他なかった」
■ペーター・ザウバー:チーム代表
「今週末全体を振り返ると、可夢偉が予選でトップ10に入ったようにクルマのパフォーマンスは間違いなく向上している。さらに可夢偉はスペインGPでは今シーズン初めてレースを完走することもできた。1周目に追突されたのは不運だった。ペドロも同様に1周目に追突されてタイヤだけでなく、フロアにもダメージを追ってリタイアせざる得なかった」
■ジェームス・キー:テクニカルディレクター
「今日は間違いなく入賞できていたので残念な結果になってしまった。ドライバーふたりともうまくスタートしたが、ペドロは追突されてタイヤがパンクしてしまった。タイヤを交換した後もペドロはアンダーステアを訴えてきたので、データを検証した結果、フロアへのダメージが大きく走行をやめさせた。可夢偉も3コーナーで接触されてポジションを落としてしまった。そこからはできるだけポジションを上げるリカバリーのレースとなったが、やはりバルセロナはオーバーテイクは難しい。ただ接触された後でも可夢偉は素晴らしいレースして、チームとして今年初めて完走してくれた。クルマの信頼性は問題なかったし、彼のペースはトップ10に充分入るものだったので、本当ならもっと上位でフィニッシュできたはずだ」
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